三十六人集(西本願寺本)                  戻る 『三十六人集』 粘葉本 一覧へ

   仲文集  唐紙料紙 (清書用臨書用紙)   

藤原仲文の家集である。料紙は全て唐紙で両面加工ではあるが裏面は全て白色であり、表裏共に花鳥折枝金銀泥袷絵が描かれている。料紙そのものは、他の集に比べておとなしく単調なものとなってはいるが、描かれている花鳥折枝は比較的繊細な筆遣いで描かれている。料紙は元々十三枚を一帖としていたが、一枚は切り取られて断簡となり現在は十二枚。断簡部分も含めて歌数63首(一説には64首とも)。その全てに詞書が付けられており、詠作の情景は思い浮かべられるが惜しいことのその年代日時が欠落している。殆ど全てが贈答歌となっており、ある程度の交友関係も見て取る事が出来る。その作風、掲載歌の様子から三十六人中最も凡人に近いと推察されている。
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 三十六人集 具引唐紙 (孔雀唐草)  三十六人集 具引唐紙 (丸唐草)  三十六人集 具引唐紙 (獅子唐草)  三十六人集 具引唐紙 (花唐草)  三十六人集 具引唐紙 (孔雀唐草)  三十六人集 具引唐紙 (七宝紋)
第十三紙
 孔雀唐草
 
第十一紙
 丸唐草
 
第八紙
 獅子唐草
 
第四紙
 花唐草
 
第三紙
 孔雀唐草
 
 第一紙
 七宝紋

写真及び手本の拡大は後程掲載いたします。


仲文集  具引唐紙『花唐草』 (清書用臨書用紙)
仲文集 具引唐紙 『花唐草』
具引唐紙 淡黄茶『花唐草』 花鳥折枝金銀袷型打 (半懐紙)


 仲文集 具引唐紙 『花唐草』 拡大  仲文集 『具引唐紙』 書拡大へ
唐紙料紙の書手本拡大


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 花唐草中央部分 具引唐紙 白 花鳥折枝燻金銀袷型打(燻金は青金と燻銀の混合)
様々の花を包み込む様に唐草を描いてあるので、花唐草と言われております。上の拡大画面の中に色々な齢の七つの花が有るのがお解り頂けますでしょうか?。
 仲文集 書


仲文集 具引唐紙 『花唐草』 拡大 
 
 左下陰の部分 光の反射の少ない様子
唐草柄も光を反射しなければグレーに見えます。

金銀袷型打も光を失い鈍い色合いです。
 


仲文集 書手本

仲文集 具引唐紙 『花唐草』 書 拡大 
 仲文集 書 縦6寸7分、横1尺5分5厘 具引唐紙『花唐草』黄雲母 第四紙
(仲文集では切取られた第二紙(断簡)を含めた料紙番号です)

歌番号は仲文集での通し番号              青色文字は使用字母

13

 おもひしる 人にみせばや 夜もすがら
 我とこなつに おきゐたるつゆ

   うりけるかなへをこよなくいひ
   おとしてりければうる人
14
 ちうこくの かなへにもこそ にえたま
 へ、おほくのせにな おとしたまひそ

   返し
15
 かふよりも うるこそつみは おもけ
 なれ、むへこそかまの そこに有けれ


   とねりのそのにをとこありて、

   とねりのうれゑ、まさむとい

   ふとききて
16
 いにしゑは とねりのねやの 物
 がたり、かたりあやまつ 人ぞあるらし

   人 紀伊くにのこほりをよめる

  (伊  なか  なくさ  あま
   ありた  ひたか  むろ)



13

 於毛日志類 人爾身世波也 夜毛須加良
 我止己那川仁 於支井多留徒遊

    有利計留可那部遠己與那久伊日
    於止之天利个連波宇留人須
14
 知宇己九乃 閑那部爾毛己楚 仁衣多万
 部、於本久乃勢爾那 於止之太末比所

    返之
15

 閑布與利母 有類己所
徒三波 於毛計
 奈連、武遍己楚閑末乃 所古仁有遣礼

    登年利乃楚能仁遠止己安利天、

    止禰利乃宇連衛、万左无登以

    布止支々天
16
 伊二之衛八 登禰利乃年也乃 物
 閑太利、可多利安也末徒 人所安類良志
           
    人 紀伊 久仁 己本利越與女留

   (伊  奈閑  那九佐  安万
   安利多  比多可  武路)


「礼」は「禮」とすることも。
「與」は「与」とすることも。
「爾」は「尓」とすることも。
( )は次項にあり

とねり
舎人;大化改新以前の天皇や皇族の近習、
律令制の下級官吏。内舎人、大舎人、中宮舎人、東宮舎人など。
或いは貴人の付き人を指す場合もある。

こおり
郡;国又は、県の下での地方行政区画。里・郷・町・村などを包括する。

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ふぢはらのなかふむ
藤原仲文;三十六人歌仙の一人であるが、その詳細は不明。本集より藤原公任と親交の有ったことが窺えるが、そのことによって歌集に収録されたとも思われる。生年及び没年不詳。

仲文集料紙組順

  紙順     料紙主仕様                          料紙特徴
第一紙   具引唐紙
七宝紋(薄紅具引)
 薄紅具引唐紙(七宝紋)薄紅色具引に白雲母で柄刷りした料紙に金銀泥で花鳥折枝が全体に描かれている。右項に墨付けは無く左項よりの書き出し。裏面は唐草柄無の白地に花鳥折枝。
第二紙  具引唐紙
七宝紋(薄茶具引)
 薄茶具引唐紙、白雲母。裏面は唐草柄無の白地。但し、左側半葉は欠損の為、現存は右側半葉二項分のみ。両面花鳥折枝金銀泥手描き。
第三紙  具引唐紙
孔雀唐草(白具引)
 白具引唐紙、白雲母摺。   裏面は唐草柄無の白地。
両面花鳥折枝金銀泥手描き。
第四紙   具引唐紙
花唐紙(薄黄具引)
 薄黄具引唐紙、黄雲母。   裏面は唐草柄無の白地。
両面花鳥折枝金銀泥手描き。
第五紙   具引唐紙
花唐草(白具引) 
 白具引唐紙、白雲母。   裏面は唐草柄無の白地。
両面花鳥折枝金銀泥手描き。
第六紙   具引唐紙
花唐草(白具引)
 白具引唐紙、白雲母。   裏面は唐草柄無の白地。
両面花鳥折枝金銀泥手描き。
第七紙   具引唐紙
獅子唐草(黄土具引)
 黄土具引唐紙、黄雲母。   裏面は唐草柄無の白地。
両面花鳥折枝金銀泥手描き。
第八紙   具引唐紙
獅子唐草(黄土具引)
 黄土具引唐紙、黄雲母。   裏面は唐草柄無の白地。
両面花鳥折枝金銀泥手描き。
第九紙  具引唐紙
獅子唐草(白具引)
 白具引唐紙、白雲母。   裏面は唐草柄無の白地。
両面花鳥折枝金銀泥手描き。
第十紙   具引唐紙
丸唐草(薄紅具引)
 薄紅具引染に黄雲母で丸唐草(二重複丸唐草)の柄刷り。   裏面は唐草柄無の白地。
両面花鳥折枝金銀泥手描き。
第十一紙   具引唐紙
丸唐草(白具引)
 白具引唐紙、白雲母。   裏面は唐草柄無の白地。
両面花鳥折枝金銀泥手描き。
第十二紙  具引唐紙
丸唐草(白具引)
 白具引唐紙、白雲母。   裏面は唐草柄無の白地。
両面花鳥折枝金銀泥手描き。
第十三紙  具引唐紙
孔雀唐草(薄黄土具引)
 黄土具引唐紙、黄雲母。   裏面は唐草柄無の白地。
両面花鳥折枝金銀泥手描き。



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